下手なホラー映画より怖かった

夜、眠っていたら、胸の奥から何かがこみ上げて口の中まで到達した。最低限の理性で口を閉じて洗面所に向かい、吐き出すと、それは真っ赤な血だった。同時に様々な思いがまさに目の前で渦を巻いたような感じに襲われ、ハッとすると、ベッドの上だった。そう、夢だったのだ。しばらく忘れていた死の恐怖が再燃して、死にたくないと心から思った。ミギーが死を覚悟した時に、くっきりとした孤独感を味わうが、その感覚とはこういうことなのか、と分かったような気分になった。誰かと寄り添って生きている者は自分の不慮の死に直面する時に孤独になるのだ。